新緑に輝く樹々の元に、ひっそりとシャクナゲが咲き誇っています。今秋、33回忌を迎える谷玉仙庵主は、この光景がお気に入りでした。お暇だったのでしょう、「今、シャクナゲが見頃ですから、見にいらっしゃい」と声がかかり、うかがうと、庵の縁側に座布団が並び、お茶をいただきながら、おしゃべりをしたことを思い出します。贅沢な時の過ごし方を、教えてくださったのでしょう。しかし、いまだにそのような時を味わうことができていません。